消費者金融業者数と利用者数は減少傾向、その裏にあるもの
2005年頃を境に、消費者金融のテレビCMの流れる機会が少なくなりました。それまでの、有名なタレントを起用したり、ユニークなキャッチコピーなどを使ったCMが大量に流されていた1990年代前後の時期を知る人ならば、急速な出稿量の減少をつぶさに感じた人も多いことでしょう。
これは、日本弁護士連合会などの意見書により、消費者金融のCMを放送する時間を規制したためで、貸出金利・貸出条件などの細かい条件書きや「無理のない返済計画を」といった注意文が表示されるようになったのもこの頃です。
実はこの時期と前後して、消費者金融業界は大幅な再編の時期にあったとも言えます。「大手」と称された上位6社の中には、メガバンクなどとの提携して経営基盤を固める業者や、反対に倒産などの憂き目を見る業者があるなど、大きく差が開くことになりました。これら大手に次ぐ中堅業者においても、倒産や吸収合併などで消滅する業者・ブランドが数多くありました。
一方で、大手銀行の中には、独自の消費者金融を立ち上げたり、大手・中堅の消費者金融を傘下に収めるなどして、シームレスな連携を見せるところも現れました。現在のメガバンクや大手と呼ばれる銀行のほとんどは、従来の融資制度とは異なる、消費者金融部門ないしは消費者金融子会社を(それぞれ経緯は異なるものの)持つようになっています。
こうした業界の流れは、総量規制(融資上限額を年収の3分の1にする施策)・グレーゾーン金利の撤廃(上限金利の一律化)、そこから派生する過払い金返還請求の増加などの波とリンクしたもので、無数に存在した消費者金融業者の淘汰に繋がっています。結果的に、消費者金融全体の利用者数は上位の大手業者により集中するようになり、(実数としての統計を集めることは難しいものの)寡占状態に近くなっているとも言われています。
全体的な利用者数も減少傾向にあるともされ、全体の市場規模も縮小傾向にあります。これは利用者がインターネットなどを通じて多くの情報を手にすることができるような現状から、複数の業者にまたがって利用していた人が「おまとめローン」「借り換えローン」などで業者を絞ってきたり、より安全とされる大手業者に顧客が集まったことなども要因として推測されます。
現状の消費者金融は、生き残りをかけてさまざまな金融新商品・サービスの開発、金利の見直し(引き下げ)、キャンペーン(無利息期間の設定など)の実施などを展開して顧客取り込みを画策しており、ある意味で過当競争状態にあるとも見受けられます。翻って利用者から見れば、よりよい条件で消費者金融と付き合っていける時期になったとも考えることができるのです。