大手なら安心、でもそもそも消費者金融の「大手」って何のコト?
さまざまな企業努力によって、そのイメージアップを図ってきた消費者金融各社ですが、それでも利用者(もしくは利用しようと考えている人)にとっては、まだどこかに悪いイメージや不安要素が残るかもしれません。こうしたマイナスイメージを少しでも遠ざけるため、借入に関するさまざまな情報を見ると、消費者金融を利用巣ならば、少なくとも「大手」を利用する方がベターであるとのアドバイスを目にすることがあります。
では消費者金融において、「大手」とはどういった位置づけのものなのでしょうか。
1990年代以降、多くの消費者金融が株式公開を行うとともに、積極的なテレビCMなどの宣伝活動などを行うようになりました。このうち、貸付高・資産などの規模が大きい5社が「消費者金融5社連絡会」、後にもう1社加わって「消費者金融連絡会」と改称される組織を結成しました。この組織に加盟していた6社を消費者金融の「(専業)大手」と慣習的に呼ぶようになっており、長期に渡って消費者金融業界においては上位を占めていました。
大手6社は、前述の宣伝活動の成果などもあり、世間的な認知度が非常に高く、また信頼性も高い消費者金融であると認識されています。一時期、これらの消費者金融大手は、海外の格付け機関によっては銀行よりも高い評価を受けていたこともあり、経団連への加入が認められた業者もあります。この大手6社を含む上位10社で、消費者金融業界の貸付残高の約8割を占めているとされます。
しかし2000年代、特にCM規制がはじまった2005年頃、もしくは貸金業法が改正(グレーゾーン金利の撤廃)された2010年前後を境にして、大手6社のうち1社は消滅(他の大手に吸収)、1社は破綻(更生手続きの後、別会社がブランド継承)、1社は銀行と提携した後に専業ではなくなった他、2社が大手銀行との業務提携(子会社化)して消費者金融専業となっています。銀行と業務提携を行った2社と独立を貫いている1社を含んだ3社が、事実上、現在の消費者金融(専業)大手と呼ばれる存在とすることができます。
こうした、歴史的な側面からみた「(専業)大手」という呼び方の業者以外に、現在では銀行が業界参入のために設立した消費者金融、銀行の資本参加によって子会社化した消費者金融、クレジットカード会社の子会社などが、認知度・信頼度の面などから大手(ないしはそれに準じる立場)的な扱いを受けています。規模的にはこれらの下に、中堅や地域密着型の消費者金融などが多く存在することになります。
こうした位置づけに属さない、いわゆる「ヤミ金」「街金」などと呼ばれる貸金業者は(減少傾向にありながらも)多数存在しますが、利用を勧められるものではありません。
消費者金融利用時には、信頼度などの面からも、慎重に業者選びをすべきでしょう。