消費者金融と大手銀行の関係、その歴史とホントのトコロ

ここ数年、テレビCMなどで「○○銀行系」「○○銀行グループ」といったように、大手銀行(メガバンクを含む)との連携をアピールする消費者金融が増えてきました。利用者としては、「大手銀行の系列だから安心」という印象がある反面、なぜ両者が近年になって接近しているのか、理解しにくい部分もあります。
本来、消費者金融は金融業界において、ある意味で特殊な立ち位置の存在です。銀行や証券会社、保険会社などの金融業者は、それぞれを所管する法律に基づいて免許を取得することが必要なのですが、消費者金融は貸金業規制法に基づく登録のみで営業することができるため、「ノンバンク」などと称されています。
消費者金融の立場からすれば、この「ノンバンク」という名称は、世間的に必ずしも良いイメージだけで受け入れられるものではありませんでした。また2010年の貸金業法改正(グレーゾーンの撤廃を含む)による過払い金請求の増加などに伴い、消費者金融は経営的にも厳しい局面を迎えるようになりました。
一方、大手銀行は融資を生業としながらも、個人向けの小口融資の面では消費者金融に遅れを取っていた面がありました。銀行の融資は(俗説的に)審査が厳しく、時間が掛かるものでした。消費者金融は無担保・無保証人での融資をメリットとしており、スピーディーかつ個人が気軽に利用しやすいものであるため、銀行よりも高い金利であるにも関わらず、多くの小口客が流れていきました。
このため各大手銀行は、まず自前で「銀行系」とも言うべき消費者金融分野に乗り出していったのです。さらに消費者金融各社のノウハウを取り入れるべく、消費者金融を傘下に取り入れるようになっていったのです。
消費者金融側にとっても、大手銀行の傘下に入る(業務提携する、合併するなど)ことは、上記の「ノンバンク」を含めた消費者金融全体のマイナスイメージを払拭するとともに、経営立て直しのチャンスとなりました。また新たな顧客獲得のチャンスが望めることも、メリットとして考えられました。
こうして銀行・消費者金融両者の利害が一致することとなり、近年急速に両者の合併・業務提携などが進んでいます。事実、かつて大手6社と呼ばれた消費者金融のトップ企業のうち、現在でも独立を保っているのはわずか1社のみです(6社のうち、1社が消滅、1社が更生手続きを行っているほか、残り3社が何らかの形で大手銀行の傘下となっている)。
利用者から見れば、大手銀行の参入によって、消費者金融に対するイメージや信用度は大きく上がったことでしょう。またATMの互換などによっても、利便性の向上が図られたと受け止めることができます。

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